第18章 猫王子と音楽
『…ふぅ』
「いい歌だな」
『っ!?』
「クスッ…そこまで驚く事もないだろう」
『…いつからいたんだよ、バカ赤司』
「先にいたのは僕の方だよ。今日はいい天気だったからね、少し寒いけど外で読書でもしようと思って」
気付かなかった…イヤホンしてここに入ってきたとはいえ、あの赤い髪を見つけられないとは、どれだけボーっとしてたんだろう。
「それ、何ていう歌なんだ?」
『…RADWIMPSの、透明人間18号』
「RADWIMPS、か…ふむ。今度聴いてみよう」
『…は?』
「の好きな歌なんだろう?なら、僕も好きになりたい」
…何だコイツ、天然タラシか?やばい、最近赤司の言葉に心臓がずっと鳴りやまない。
『CD、貸そうか?』
「いいのか?助かるよ。他にもおススメのものがあれば教えてほしい」
『何、赤司も音楽聴くの?』
「最近は寒くなってきて、ロードワークが欠かせなくなってきたからね。1人で走るのも好きだが、やはりつまらないから何か変化がほしくて」
赤司と話している間にも、イヤホンからはシャカシャカと音が漏れてくる。それに興味を持ったのか、あたしのすぐ近くまで来て、イヤホンを片方自分の耳に入れた。
「…これは何ていう歌なんだ?」
『えっ?あ、あぁ。これは…』
ち、近い近い近い!!!赤司の顔がすぐ近くにある!!!ていうか、やっぱ超良い匂い…くっそ、男のくせに!!!
「…ふむ。やはりいい歌だとは思うが何か物足りない。の歌と一緒に聴きたい」
『…は?』
「ダメか?」
『ダメダメダメ!つーかあたし下手くそだし!』
「問題ない。の声で聴きたいんだ」
…むかつく。余裕そうな赤司がムカつく。あたしは何でもないように装い、歌を歌った。