第15章 猫王子と修学旅行
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奈央「ー、お風呂行けへん?」
『あー、うん。行く』
奈央「皆もう向かってるんやって。ウチらが最後や」
『あー、うん。準備する』
どうしてあたしは最後、赤司にあんな事言ったんだろう。そういうのって普通、付き合いたてのカップル同士でやるものだよな?
奈央「どしたん?心ここにあらずって感じやんか。が考え事なんて珍しいなぁ」
『考え事って言うか、自分の行動が分からないって言うか…』
奈央「?それ、赤司君関係しとるん?」
『関係も何も、赤司本人の事だよ』
奈央「!ふ~ん♪赤司君も実らぬ恋ってわけやなかったんやね」
『それはまだ分からないよ奈央たん』
まだ、分からない。赤司の事はやっぱり好き。だけどやっぱり恋愛という意味かどうかは分からない。
『あー、もう!!!!ウダウダ悩むなんてあたしらしくない!!!さっさと風呂入ってお肌すべすべになってやる!!!』
奈央「バカは長所なんか短所なんか分からへんなぁ」
『奈央は相変わらず優しいのかただバカにしてるのか分からないな』
いい加減はっきりしないと…と思う気持ちと、そんな簡単に決めていいわけないと思う気持ちが交差する。って…何言ってんだ、あたし。まるで恋する乙女みたいじゃん、気持ち悪。
仕切り直すようにお風呂の扉を開けた。ホテルだから大浴場と言っても温泉の湯じゃないのが残念。