第11章 猫王子と文化祭

赤司side


『はぁぁぁぁ！何かスッキリしたらお腹空いたよ！ね、タコ焼き食べたい！』

「相変わらず切り替え早いな。…今日の服、可愛いね」

『そう？可愛くした覚えはないけどありがと』

「…少しは動じなよ」

『手強いって言ったでしょ。つーかあたしが可愛いなんかで喜ぶ奴だって思ってんの？逆だっつーの』


…そうだった。以前失敗したのを思い出した。僕は本当にの事になるとどうしようもなくなるらしい。


『ほら、行くよ王子』


不意にから手を握られ、動じるのは僕の方らしい。というかは本当に僕の事を意識していないようだ。少し…いや、やっぱりかなりへこむ。

だけど、喋らなくなってしまう事を考えるとマシなのかもしれない。とにかくここからは僕次第だ。


『おっちゃんタコ焼きくださーい！ソースとマヨネーズたっぷりがいい！』

店主「お！お嬢ちゃん元気ええなぁ！って…えらい美男美女のカップルやん！おっちゃんええもん見せてもろたわ！ほれ、2個サービスや。仲よう食べるんやで～」

『まじで！？やったー！ありがとうおっちゃん！ほら赤司もお礼言いなさい！』

「…ありがとうございます」


買ったばかりのタコ焼きを近くの石に座りハフハフしながら食べる。


『ほれ、赤司も食べな～。歯に青のり付いてたら教えてあげるからよ』

「…ぼくはそんな失態しない」

女性「クスクス…綺麗なカップルやねぇ。若いってええな」

『そんな！お姉さんもプリプリビューティですぜ！タコ焼き食べます？』

女性「クスクスっ！おもろい子やなぁ！彼氏さん、彼女大切にしてあげるんやで？タコ焼き、遠慮なく貰うな？」

『まいどー！って、どしたの赤司君や』

「…さっきからカップルだと言われているが、否定しないのか」

『んー？はっへひへいひへほ…』

「少し待ってやるから口の中を無くせ。というか自分から聞いておいて途中で食べるな」

『ゴクン！まぁまぁ落ち着いて。だって知らない人だし、誤解されてもその日限りでしょ？だったら否定する無駄な努力より適当に流して利益が得られればラッキーじゃん？』

「…それもそうだな」


僕は少し考えすぎていたのかもしれない。今はとりあえずと一緒に、の隣で楽しく過ごせたらそれでいいのかもしれないな。