• テキストサイズ

猫王子と犬平民

第11章 猫王子と文化祭


『…何で隣に座るの』

「いいじゃないッスか!それともっちは知り合いもいないのに俺を1人ぼっちにさせるつもりなんスか?」

『うん』

「…即答ッスね。前にも聞いたけど、何でっちは俺の事嫌いなんスか?」

『…そんな叱られた犬みたいな目で見ないでよ。つーか最初ほど嫌いじゃないよ。奈央から聞いた限り、アンタ黒子に負けてからちゃんと頑張ってるらしいじゃん』

「…奈央ちゃん、それもっちに話したんスね」

『あのさぁ、ずっと気になってたけど何で奈央だけ"ちゃん"呼びなの?つーかっちとかやめろ腹立つ』

「あ、俺尊敬する人には"~っち"って付けるんスよ!」

『尚更腹立つ。奈央の事は尊敬せてないって事か?もしそうなら…』

「違うッスよ!!だからその拳引っ込めて!!!!」


何が違うんだ。あたしの大事な友達侮辱しやがって。


「っちって呼んでるのは、IHの時の言葉に救われたからッスよ。あの時っちが叱ってくれなかったら、俺は今どういうバスケをしていいか分からないままだった。だから…ちゃんとお礼がしたかったんス。ありがとう、っち」

『…あっそ。んで?奈央の事は理由になってねーよ』

「奈央ちゃんの事は…正直分かんないッス。俺は昔から自分に言い寄ってくる女は全員そう呼んでたッスから」

『なら奈央はそこら辺にいるアホ女と同類だと思ってんの?』

「…っち。今から多分、俺酷い事言うッス。だけど最後まで怒らないで聞いてほしいッス」

『…分かったよ。ただし嘘ついてると思ったら即ぶん殴るからな』

「…おっかないッスね」


きっと今から黄瀬涼太が話す事は良い事ではないだろう。あたしにとっても、奈央にとっても。

奈央は気付かずに真剣にスコア係をこなしている。ずっと黄瀬涼太に聞きたかったこともあるし、それを聞くなら今しかない。


とりあえずあたしは、黄瀬涼太が話すまで待った。
/ 348ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp