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【R18 食戟のソーマ】大好きなのに素直になれない。

第1章 プライドの高い先輩はいつも私を『のろま』という。


好きなのに素直になれなくて…
嫌いだといつも通りに言えば、目の前の彼女は泣きそうに「私も貴方の事が…大嫌いです」と呟くようにいっていた。

+++

「百合子ちゃーん!」
「日向子ちゃん、どうしたの?」

乾日向子は手を大きく振って私に正面からギュッと抱き着いて来た。私はそんな日向子をそっと支えてきょとんとした表情で首を傾げるが、日向子はお構い無しに私の胸に顔を埋めて見えた。

彼女はこれをしたかっただけなのだろう…息が荒いような気がするが気にしないでおこうと日向子の頭をグイグイ押した。渋々というように私から離れて私の胸に視線を寄越す彼女に距離を置きながら、引き気味で両腕で胸を隠す。

「百合子ちゃんは着痩せするタイプですね!はぁはぁっ!とてもいいです!素敵です!」
「この変態どうにかならないかしら…」
「蔑むような冷たい視線もまたいい!ドキドキします!」

あっ、この子もう手遅れだった。と大きなため息をつく。肩を落としなにも用件がないなら寮に戻ろうと廊下を歩いて行こうとするが、日向子は私の右手首を掴むと「待って下さい!お願いします!」と全力で止めに入る為振り返り苦い表情で首を傾げる。

「なに?」
「えっと…百合子ちゃんに会わせたい人がいるの!」
「いや、私は別に会いたくないし…」

私が露骨に嫌そうな表情をしたからだろう。日向子はあわあわと両手を上下に振って、私の前でお願いします!と両手を合わせて拝む姿勢をとった。

「はぁ…分かった」
「!!百合子ちゃーん!ありがとう!」

そう彼女はまた私に抱き着き、私は相当日向子に甘いなと小さく笑った。今思うならここで嫌だと子供のように駄々をこねれば良かったと後悔する事にもなる。

+++

「テリーヌ?」
「ふふふっ!百合子ちゃんもびっくりすると思いますよ!ほっぺたが落っこちちゃうくらいに美味しいんです!」
「それをどうして私に?」
「それは…内緒です!」


えへへ…と戸惑いながら視線を反らす彼女に、聞いて欲しくないのかなと深くは聞かなかった私は日向子に手を引かれてテリーヌがある場所まで歩いた。すると調理室からいい匂いが漂って来て、作っている人は相当の人だとワクワクする胸のときめきを感じながら日向子がドアをガラッと開けてその後ろに私も続いた。
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