第1章 ミラーボールとシンデレラ
黒尾さんと過ごした日々は、楽しかった。幸せだった。
連絡が来なくなっても、信じてた。またいつか、って…。
でも僕は逃げ出した。
黒尾さんが嫌いになったわけじゃない。ただ、怖くなったんだ。
いつまでたったても連絡は来なくて、その度に疑心暗鬼になっていく。
『ほんっと、可愛いなあ蛍は』
『好きだよ蛍。蛍は?』
『早く高校卒業して、こっち来いよ』
黒尾さんが紡いだ愛の言葉が信じられなくなった。
だから逃げた。
でも、逃げても逃げても黒尾さんを思い出さない日はなかった。
それが嫌で、雁字搦めになるのがいやで、いろんな人と付き合うことで抗った。
その度に新しい愛の言葉で、上書きした。