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【HP】月下美人~もしもの話~

第7章 謹賀新年。


「セブルス。HappyNewYear!」
「…なぜこんな夜中に部屋に来るのかね」
「なぜって…新年だからですよ?」
「新年だからと言って浮かれる理由がわからん」
「いえ、むしろなぜ浮かれないのか理解できません」
「……おい、それは何だ」
「何って、お酒ですけど」
「今から酒盛りする気なのか?」
「日本では!新年をお祝いするんですよ!!それなのにこっちの人たちと来たら、クリスマスが終わったらもうなにもかも終わったー!みたいな顔して!何でですかね!どっちかというと新年の方が一大イベントなのに!」
「……文化の違いだ」
「それはわかってますよ。だから、私だけはこうして祖国の文化を大切にしているんです」
「他人を巻き込むな」
「まぁまぁ。ダモクレスもその内来るはずです」
「は?」
「呼んだ〜?」
「あ!ダモクレス、HappyNewYear!!」
「ええっと? アケマシテオメデトウ?」
「明けましておめでとうございます。謹んで新春の慶びを申し上げます」
「うわー固い!何それ、日本ではそんな挨拶が主流なの〜?」
「そうですよ」
「これまで一度もこんなことしてなかっただろう」
「ええ。色々大変でしたし、毎年どなたかお亡くなりになってましたからね」
「どういうこと〜?」
「まぁ、親族でなければ関係ないと言えば関係ないですがね。喪に服すということで、これまでは表立ってやりませんでした。学生の頃は基本的には両親と過ごしてましたし」
「色々あったもんね〜」
「ようやく、平穏無事に年越しできました」
「……」
「本当は、お屠蘇が良いのですが。あんまり美味しくないので、もうこれで代用しちゃいます」
「オトソ?」
「ええ、新年に飲むと決まっているお酒です。縁起物ですけどね。無病長寿を願うものです」

 お屠蘇とは全く違うが、ウィスキーを手の平に収まる平たく小さな杯に注ぐ。

「一つの杯から、若い人から順に少しずつ呑んでいきます」
「それも何か理由があるのか?」
「ええ。若い人の生気が残った酒に残り、年配者の生気となると考えられていたみたいです。後は逆に年長者から飲む場合だと、知識を分け与える、というような解釈もあります」

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