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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第4章 ・ハヤシライス


「私ももう少し頂きます。」
「珍しいな。」
「今週は掃除当番なんですが、念入りにしてたら結構体力を使いまして。」
「そうか。」
「お母様とお祖母様はどうなさいますか、って」

文緒はここでええとと呟く。母と祖母はまだ笑いをこらえている真っ最中だった。

「どうかしたのか。」

若利も不思議に思い義兄妹は揃って首を傾げる。母と祖母は何でもないといった意味の事を言ってから文緒におかわりはいらないありがとうと言う。様子がおかしいと思いつつも若利はすぐにまあいいと流してしまった。

「ごちそうさま。」
「お粗末さまでした。」

義妹は微笑む。表情こそまともに変わっていなかったが若利はやはり笑っている方が愛らしいと思い、少し長くそれを見つめていた。


やはりと言うべきか夕食後、若利は部屋に文緒を呼んでいた。相変わらず少し遠慮がちにする義妹を膝に乗せて抱きしめる。若利としては満足だ、顔は変わらないけれども。

「本当この体勢がお気に入りですね、兄様。」
「落ち着く。」
「そうですか。癒やし効果が期待出来れば良いのですが。」
「今のは冗談か。」
「そうです。」
「どうもよくわからない。」
「兄様は真面目ですものね。」
「ユーモアというものは難しい。」
「それは思います。」

言って文緒はそっと若利の方に向き直って抱きついてきた。自分の胸に顔を埋める義妹を見てこいつもかなり甘えてくるようになった気がすると若利は思う。そっと頭をなでてやると義妹は満足そうにぎゅっとしがみついてきた。

「それにしてもお母様達はどうなさったのでしょうね。何だかずっと笑いそうになるのを我慢されていた様子でしたが。」
「わからない。ただ思うのだが」
「はい」
「お前と話しているとチームの連中が時折何か言いたそうな顔をしている時に似ている気がする。」
「あら、何て事。でもチームの皆さんは大抵先に突込みを入れてこられますが。」
「今だに過保護だの天然だの言われるのは納得が行かない。」
「それは単に兄様が頑固、いいえ何でもありません。」
「今のは伏せる気があったのか。」
「どうでしょう。」
「ごまかす事を覚えるとはどうしたものか。」

言いながら若利はくいっと文緒の顔を持ち上げてそっと唇を重ねる。

「にい、さま。」

呟く文緒に若利はスマンと言った。
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