第17章 正月太りには気をつけろ
「ったく…気持ち良さそうに寝てんじゃねェよ。」
まるで安心仕切ったような顔で静かな寝息を立てて寝ている姿を横目で見てたら俺まで眠くなっちまう。つーかこんな無防備に寝るなっつうの。一体俺を何だと思ってんだコイツは。男を知らなさ過ぎるんだよな。ま、俺は疾しい事何てするつもりは無いけど?
『……ん。』
「お?目覚めたか?大丈夫か?」
『……………銀さん。』
「何だ、どうした?気持ち悪いか?」
『………………。』
「………………。」
ね…寝言かよォォォォォォ!!
つか何で寝言で俺の名前!?そういうの辞めてくれない!?切なくなるだろうが!!
口に出して叫びたい所だがそうも出来ず思わずため息が出る。むにゃむにゃ言うもんだから立ち止まって介抱できるならしようと思ったのに寝言とは。周りから見たら俺完全変な人だよね。
「あー…もう勘弁してくれ…。」
いくら寝言とはいえ名前呼ばれちゃあ、たまったもんじゃねぇよ。
どうせ起きたら何も覚えてねぇくせによ。
仮に聞いたところで『え、そんな事言ってました!?』とか、そんな所だろうな返ってくる言葉は。
「結局参拝出来なかったな。また適当にアイツらも連れて改めて行くか…。」
近い未来の予定を立てながらも結局帰るまで俺の名前を呼んだ寝言がずっと耳に残っていた俺は理性を失わない様に家へと帰った。