第7章 何事も経験あるのみ
それからお風呂を出ても歯を磨いてもテレビを見ても頭から離れてくれなくて、もう寝ることにした。
寝室に入ると銀さんは布団の中。
さっきみたいに嘘寝かな?とか少し思ったりもしたけど、規則正しい寝息が聞こえてきたからそれは無いと私も布団に入る。
「……兎になっちゃえ。」
女っていうのは何て過去の事を引きずるのだろうか。
さっきの事を思い出しちょっとモヤモヤした気分になる。
私は少しムッとした顔で銀さんの方をチラッと見た。
襖からじゃ何も見えないけど、布団の中に入ると銀さんの寝顔がハッキリと見える。
「私もそろそろ寝なくちゃ。」
銀さんの無防備な寝顔を見て、不覚にも少しドキッとしてしまう。
私はそれ以上の感情を押し殺すように、銀さんの方に背中を向け、無理矢理無心になりそのまま眠りについた。