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虹と花とキミ達と 1 《気象系》

第8章 その船…この船?


櫻井視点

コンサート会場のすぐ近くのアリーナの駐車場に車で乗り付けた俺たち。

思った以上に人がいない。


(芝生が濡れていない…)
ここは、雨が降っていなかったようだ。



M「なんかさ、こんな芝生の上で、会見したよね」

N「“とくだね”だったよね」

A「社長に言われた言葉を、一生懸命 言った事覚えている…」
 雅紀がしゃがんで、芝生を触っている。

M「ホテルで特訓してたよなぁ」
 雅紀の背中を見ている潤。


O「おいらは‘全然’覚えてない」
 智くんは力いっぱい記憶にないと言っている。


N「あなた、寝起きだった?」
 ふうっとため息を吐くカズ。

O「…かなぁ?」
 首を傾げる智くん。


(始めは、こんな空気無かったな…)



チーフ「覚えていますか…」
 チーフが小さい声で俺に話しかける。


「覚えているよ…
 俺も、困惑しながら、言われた言葉を必死に復習していたからね」

(自分の振る舞いで、どっちに転がるか変わらなかったし、誰も道を教えてくれなかった。



『翔…あなたが松本を…四人を守るのよ…』


 今考えても…
 あの時の景子さんは、17の高校生に無理な事…言ったよなぁ…

 それからもいっつも、突然で…尚且つ決定事項を突きつけられるんだもんな…)


事務所に入る前から、顔だけは知っていた景子さん。

入所に反対だった景子さん。


押し切って入ってしまった俺を、よく家に誘ってくれた。
よく話を聞いてくれた。
デビュー後は節々で俺を呼び出して、小言を言われた。



チーフ「守れましたね…」
 横にチーフが立った。

(あの『守れ』から、十五年…考え深いなぁ)


「まだ…まだまだだよ…触手はいつもすぐ、側にいる…」


チーフ「翔様…」


「やめて…やっと、普通に戻ってこれたんだから…」

チーフ「はい…」



スタッフ「お待たせしました!」


A「もういいの!」
 ピョンと立ち上がる雅紀。

M「いこう!」
 笑顔の潤。

(二人の笑顔はいつ見てもいいな…)

自然と笑顔になっている自分を感じる。
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