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Starlight Kiss【気象系BL小説】

第15章 対峙


「や…いや…まさ…雅紀…」


雅紀「ぐっ…」


目の前には…脂汗をかきながら歯を食い縛る雅紀の姿。


翔父「こんな奴庇うなんて馬鹿だなお前…どけよ」


雅紀「退く…かよっっ…」


翔父「おらっ」


雅紀「ああっっ!!」


包丁が食い込む。


「止めて!止めてぇっっ!!」


ぱたぱたと…床におびただしい血が滴り落ちる。


雅紀「翔…だいじょぶ…大丈夫…」


それでも雅紀は俺を庇いながら…にっこりと微笑んだ。


「や…雅紀止めて…!もういいから…」


雅紀「大丈夫…守るから…へ…き…はぁっ…」


翔父「こんな奴の何処がいいんだ。ウリやってたんだろ?誰とでも寝る淫乱なんざ庇う価値もねぇのに」


雅紀「………さい…」


翔父「あ?」


雅紀「うるさい…しょ…の事何も…知らないくせに…」


翔父「はっ…知りたくもねぇやな」


雅紀「翔…愛してるよ…これからもずっと…ず…と…」


「雅紀」


雅紀の顔が近付き…そっと唇が触れる。


雅紀「大丈夫…これで…終わり…だから…」


翔父「いい加減退けよ!」


そのままゆっくりと…俺の身体がソファーに降ろされる。そして…


雅紀「う、うぁぁっ!」


そのまま振り返り、あいつを羽交い締めにする。


「雅紀っっ!」


腕を縛られたままの俺はその光景を見ながらもがくしか無かった。


翔父「は、離せ!」


雅紀「お前は…絶対許さない…」


翔父「このっ…」


あいつの手が包丁に伸び、柄を押し込む。


雅紀「ぐぅっ…!」


それでも雅紀は…あいつを引きずりながらベランダへとゆっくり向かって行った。


「雅紀止めて…!もう止めて…!」


翔父「離せ…離せよ…!」


雅紀「これで…終わりだ…」


翔父「てめぇっ…!」


ベランダへと出た2人は揉み合いながら柵へと近付いていく。


「雅紀っっ!!」


翔父「や、止めろ!離せ!!」


「雅紀ーっっ!!」


最後に見た光景は…あいつと一緒に柵から引きずられる様に下へと落ちていく雅紀の姿…。
一瞬目が合ったその表情は…俺に優しく微笑みかけていた。


「………」


遠くから…アスファルトに重い物が叩き付けられる音と…通行人の悲鳴。


「や…いやーっっ!!」


誰も居なくなった部屋に俺の悲鳴だけが響いた。
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