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絶対絶望壮年 ーカムクラといっしょー

第3章 出会い


L字角を曲がり、その先にある立体駐車場を通り抜けようとした時、近くで不自然に石の転がる音がした。
興味なさげにカムクラが視線をその方向に投げる。
「おーい、そこの青年。忙しくなかったら助けてもらえないか」
少し遠くから男性の声が駐車場内に響く。
カムクラの視線の先からだ。
「……脚が挟まって抜けないんだ。私一人ではどうにも出来なくてな」
瓦礫に埋もれた男がカムクラに向けて手を振っている。
どうやら石を投げてカムクラの近くまで転がしたのも彼のようだ。どうにかして自分の存在に気づかせようとしたのだろう。
「…………」
カムクラは無言で男に近付いた。
そして手に持つ紙に目を向ける。写真と目の前の男を見比べた。
「あなたが「暁従者」ですか」
カムクラが言うと、男は少し困惑した態度でカムクラを見上げた。
「確かにそうだが……どうして君が私を知っているんだ?」
「この紙に書いてあっただけですよ」
カムクラは紙を放り捨て、男のすぐ傍に落とす。
男はその紙を覗き込むと、すぐに絶句したように息を呑んだ。
「殺すリストだと……?」
「えぇ、この街のコドモらからあなたは狙われている訳です」
言いながら、カムクラは男の身体下半分に崩落した瓦礫を退かし始めた。









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