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絶対絶望壮年 ーカムクラといっしょー

第6章  お別れ。


真っ直ぐに延びる線路を歩いていく。
青年と別れて数分経った。
出口まで、何Kmあるんだろうか。
幸いモノクマはいないみたいだから、少しは心に余裕が持てる。
金属バットを片手に。折れた竹刀と愛娘お手製の竹刀袋を背に。希望の生徒の生き残りの行方を懐に。
歩いていく。
道は酷く暗く、果てしなく長い。
ふと、この状況で数時間を共にした青年が隣に居ないことを少し心細く感じた。
強くて頼れるあの青年にいずれまた再会しなくては。
超高校級の希望――カムクライズル。
娘も……誉稀も、一緒に連れて会いに行こう。
きっと、友人との再会を喜ぶはずだ。
いつか来るべき日を思うと、自然と口元が緩むのを感じた。
誉稀とカムクラ君がどのような仲なのかも気になるな。
カムクラ君さえ良ければうちの娘を嫁にもらってほしいくらいだ。
そんなふうに未来に想いを馳せて進んでいくと、目の前の暗闇に小さな光が見えた。近づくにつれて、どんどん大きく強い光になっていく。
「…………やっと出口か」
安堵して、胸を撫で下ろした。
ホームからの光に導かれ、早足で歩く。
ふと、光の先から声がした。
黒いスーツの男女が此方に向かって声を掛けている。
特徴的なロゴが目に入った。未来機関だ。
探す手間が省けたとも思うし、助かったような心地でもあるし……善悪を分ける噂を思い出して少し警戒心も抱いた。
何にしろ……先ずは娘の安否の確認だ。
私は未来機関に誘導されながら説明を聞いた。
どうやら私は"要救助民"と呼ばれる人間のうちの1人らしく、未来機関はその要救助民を保護するために塔和シティに入ったと伝えられた。
要救助民とは、希望ヶ峰学園で「コロシアイ」をさせられた生徒達の家族や親しい関係にある人間を差すようだ。
あの地下鉄で遭遇したコドモも、呼び方は違ったが似たようなことを言っていた。
未来機関は要救助民を助け出そうとしたはいいが、モノクマが急に現れたり仲間が人質に取られたりと、これ以上は迂闊に塔和シティには近付けないらしい。
成す術もなく、唯一塔和シティと繋がっている地下鉄の本土側で待っていると要救助民である私が出て来て今に至るという訳だ。
今から私は、誉稀とその同級生達の所属している第14支部に送られるらしい。
やっと娘に会える。
一息吐いて、私は未来機関員と共にヘリに乗り込んだ。
飛び立つヘリコプターの窓から外を見る。
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