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As well be hanged for .....

第15章 答えは甘美に 制裁は憧れに 後編




「義足の男」Rの欠けた天使。

その団体の一員かもしれないトーマス・ロヴィンソンを追い始めて1週間。
世間からは、そろそろバッキンガム宮殿爆破事件が忘れ去られようとしていた。

古典的な手段を用い、トーマスを追いかけている女王の番犬ウリエは、1週間、ただの一度もそんなそぶりを見せない彼に、痺れを切らしていた。
今夜、何もなければ別の手段を考えよう。とシエルと相談している。

「しかし、一般人が綺麗に素性を隠し続けられますかねぇ。」
「両親は死亡、兄弟がいたかは不明。出身はロンドン郊外の田舎。学校の成績は普通。高校を卒業して警察学校へ、その後警察官になる……出来すぎよね。」
「だが、偽装された風もない。住民票も本物だ。一つ腑に落ちないとすれば、両親もいないのに、学校に通い続けられた点だな。」

夕食を終え、辺りが寝静まるまで、ウリエとシエルはコーヒーを片手に、PCや資料と格闘する。
出来る限りトーマス・ロヴィンソンについての情報をかき集めるが、これと言って決定的な物がなに一つでてこない。

「パトロンがいるのは確実ね。でも、そんな話はどこにも…」
「政府が援助しているんじゃないのか?そういう、親を亡くした子供は。」
「でも、そうすれば必ずどこかにそれが書かれているはずよ。政府は、入るお金は落ちてるものでも拾うけど、出ていくお金は熨斗に帯、借用書まで付けて出すんだから。」

コチコチ。と時計の音だけが響く書斎で、うーん。と首を捻る二人。
セバスチャンが時計に視線を向けて、そろそろ出かけましょう。と二人を促した。

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