第9章 ♠熱が・・・
潤side
「ぐるじいよ~ たすげで~」
雅紀からの突然の電話。
ただならぬ様子に、俺は深く理由も聞かず、雅紀のマンションへと車を走らせた。
地下駐車場に車を停め、エレベーターを待つが、一旦最上階まで登ってしまったら、なかなか降りてこない。
待ちきれず、脇の階段を駆け上がった。
部屋の前に着いた頃には、もう息も絶え絶えの状態。
息を整える間も惜しくて、インターホンを鳴らした…が、応答はない。
続けて何度か鳴らしてみるが、やはり応答はなく、俺はドアノブに手を掛けた。
扉はなんの躊躇も無く呆気なく開かれた。
玄関に乱暴に靴を脱ぎ捨て、リビングに続く廊下に歩を進めた。
が…、
いやいや、これは駄目でしょ…
今来たばかりの道を引き返す。
脱ぎ散らかされた靴を綺麗に揃え、再びリビングを目指した。