第3章 ♠小さな温もりが…
和也side
動物ってさ、癒し効果がある、ってよくみんな言うじゃない?
それってさ、案外当たってるのかもしれない…なんて、最近思い始めた。
って言うのもさ、拾ったのよこの間。
そりゃ酷い雨の日に…
マンションの生け垣からね、ミーミーって聞こえたのよ。
激しく打ち付ける雨音の中、今にも消え入りそうなか細い鳴き声が…
結局、放っておくのも気が引けて、土砂降りにも関わらず、ずぶ濡れになって、その声の持ち主を探した。
漸く見つけたソイツはさ、俺の両手にスッポリ収まるくらいの大きさしかなくって、目を細めてブルブル震えてた。
朝までこのまま放置したら、もしかしたらコイツ死んでしまうんじゃないか…って思ったら自分の服が濡れるのも構わず、コートでくるみ、胸に抱いた。
この時の俺は、こんな今にも消えてしまいそうな、小さな命にすらすがりたい程、孤独で、何より酷く寂しかったんだ。