第1章 あなたに捧げるわたしの赤
時計が24時を回った頃。
窓に現れる人影。
「やっほー、 あんず…♪」
月夜の中に怪しく光る赤い瞳と笑った口からこぼれる白く鋭い歯。
この瞬間、
学院で見かける“いつも眠たげな男の子”ではなく、正真正銘の“吸血鬼”なのだといつも実感させられる。
「こんばんは、凛月くん」
「…お腹減った。早く飲ませてよ」
窓から部屋へと侵入し、わたしの元に段々と近づいてくる。
こんな関係になったのはいつからだろうか?
わたしと凛月くんが一年生の頃からだから、もう一年近くになるのだろうか。