第3章 課題教科・恋愛@赤司征十郎
「ど、どうぞ…」
自分の部屋の扉を開ける。昨日頑張って片付けた…つもりだ。本は本棚、キャンディーは小さいカゴに。そして、ちょっと前に消臭ミストも撒いた。それもほんのり匂いつきの。
うん…大丈夫だ!
「お邪魔するよ。…可愛い部屋だね」
「えへへ、ありがとう」
ちょっと照れるけど…変に思われなければいいや。
あのいつもの散らかりようじゃ、彼氏なんて家に招けない!
——そう、私の彼氏である赤司征十郎くんが、なんと今私の家に来ているのです!
理由は……、
「じゃあ、お願いします……」
「そんな恐縮しなくても…どれ、見せてごらん」
赤司くんは笑いながら筆記用具を取り出した。私は付箋だらけになった数学の問題集を手に取り、彼に渡す。
「うん…なるほどね。美心は本当に数学が苦手だな」
「だって全然分かんないんだもん…」
本当に意味が分からない。でも、もう中3だ。赤司くんと同じ高校に行く為にも、勉強は避けて通れない。
向かいに座った彼と目を合わせ、深くお辞儀した。
「赤司先生、お願いします!」
「はいはい、手の掛かる生徒さん」
少し悪戯っぽい笑みを浮かべてから、彼は授業を始めたのだった。