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青春メモリアル【短編集】

第9章 クロ猫@黒尾鉄朗




部活終わり。他の奴らが着替えるのを待っている間、俺はスマホの写真を眺めている。

「黒尾、あのさ…」

「なあ夜久、婚約指輪っていくらすると思う?」

「…は?」

スマホに映った彼女を見つめながら、夜久に訊いてみた。
が、夜久は驚くばかりだ。

呆気に取られる夜久の陰から、研磨が現れた。

「それ、桐谷さん?」

「…ああ、黒尾の彼女の」

「可愛いだろ!」

画面を2人に向けると、山本がやって来た。

「可愛いっすね!」

「あぁ?」

「クロさんが言ったんじゃないっすか!」

「うるさい、虎」

項垂れる山本を余所に、堪り兼ねた夜久が問い返す。

「で、なんで婚約指輪?」

部室にはいつの間にか俺達しか残っておらず、3人は揃って俺のスマホを覗き見ている。

「…指輪、桐谷さんにあげるの?」

「…まぁ、な」

流石は研磨。察しがいい。


画面の中で微笑むのは、桐谷美心。俺の彼女である、2年生だ。

2年生は17歳で、法律上結婚可能な年齢。

そして俺は、今年でやっと18歳。やっと結婚できるのだ。

「最近はバレーばっかで、全然構ってやれてねーし…」

「そうなんすか…」

「ま、構ってやれないのはマズイな」

「でも流石に婚約までは…。あと、俺値段とか知らないから」

「あ、でも、今日久しぶりに一緒に帰るんだぜ!」

「「「早く行って来い(来て)(下さい)」」」



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