第5章 失われた恋の行方@菅原孝支
グスグス、グスグス、泣いていた。
そうしていると、君は決まってこう言う。
「美心は泣き虫だなぁ」
「…ふんっ。どうせ私は、フラれてばかりの哀れな泣き虫女ですよぅ…グスッ…」
校舎裏で泣いていると、君は私を見付けて、黙って隣にいてくれる。
頭をポンポンと優しく撫でてくれる。
私が泣いていると、君はいつも来てくれた。
……だから、気づかない方がいいと思った。気づきたくなかった。
目を逸らし続けた。
君の為に。私の為に。
…これからの為に。
目を、逸らし続けたの……。