• テキストサイズ

青春メモリアル【短編集】

第4章 君のぬくもり@影山飛雄




…こてん

肩に、少しの重みと甘い香り。

「…不意打ちは反則だろ」

「ふふっ、1本取ったりー」

影山は、肩ずんで八つ当たりしてくる美心に、不覚ながらもときめいた。

「…美心」

「ん?」

美心は顔を上げ、問い返す。影山は正座をし、自分の膝をとんとんと叩いた。

乗れ、って事?

美心はそう察し、影山の膝に跨った。すると、いきなり腕が回され、体が密着した。
美心は抱きしめられたのだ。

「…飛雄?」


「…俺さ、勉強できねぇし、バレーばっかだし、お前が望むような事してあげらんねーかもしれねー」

「とびっ、っ」


美心の声を遮るように、影山は桃色の唇にキスを落とした。


「でも、覚えとけ。俺が好きなのはお前だけだ、美心。何かあったら俺に言えよ」

「何かって?」

「…浮気疑惑とか、その他諸々」



ぎゅっ、と腕に力が込められたのが分かった。——本気だ。きっと、高校では今より2人の時間が少なくなる。それで私が寂しくなって、喧嘩しちゃったりとか、そういうのを予想して……。

飛雄のくせに、イケメン。
込められた愛を悟り、美心は嬉しくて悪態をつきつつも受け止めた。


「…私も、飛雄だけが好きだから…」

影山を抱きしめ返し、想いに応える。そんな美心に、影山はたまらず口付けた。
何度も、何度も…。

「っ、とびお、やりすぎ…はぁ」

「なぁ、俺勉強したんだけど」

ちゅ、と音が鳴る。2回、3回と絶えずに啄むようなキスが繰り返される。

「うん、お疲れ、んぅ」

「疲れんのはこれからだからな」

影山はやっと唇を離し、美心の制服に手を掛けた。

「ほら、ご褒美…くれよ」

「っ…バカ、」


——また今日も、君のぬくもりに包まれる。


fin


/ 145ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp