第17章 キスでつたわるあいことば@赤葦京治
「…へくしっ」
「大丈夫、夏風邪?」
しゃがんで荷物の整理をする京治くんの髪の毛がぴょこぴょこと揺れる。なんだかそれすらも愛おしい。
「まぁ…大丈夫です」
「無理しないでね」
私は彼の背後に駆け寄り、その黒い髪にキスをした。
「…意味、知ってますか?」
「うん。…嬉しかった」
すると、京治くんは振り向き、私の腕をひっぱった。
「あっ……」
唇が、重なった。
「…伝わった?」
「…ずるい」
悔しくて、でも嬉しくて。
微笑む彼の頬に、素早くキスをした。
fin