第5章 2次試験・前編

「リア、大丈夫か？」


「今のところはですけど」


目の前の相手から視線を逸らすことなく答える。


刀で受け流すのは危険だと判断し、身を逸らすように変えた。


念の使えないこの状況で真っ向から勝負するのは危険。








仕方ない…。


「…イト…！」


彼を呼ぶとしよう。


彼は念ではないし念も使わない。


試験官だとバレる可能性は大いに高いが、この状況では仕方がない。


「全く…怪しまれても知らぬぞ？」


やれやれ、と面倒そうに姿を現した。


「また蛇⁉︎」


「こやつらと同じにするな」


ジロリとシャルナークさんを睨みつける。


「貴様ら、ここは大人しく退け。

ムダな体力を使う程オレは暇じゃない」


周りは明るいというのに目を光らせて威嚇する。







「…はい」


イトの気迫に負けたのか、先程までの威勢がまるで嘘のように大人しく去って行った。