第5章 2次試験・前編

1次がかなり簡単だったこともあり、会場の空気は緩みきっていた。


傲（オゴ）りや侮りの声が充満している。


この空気、はっきり言って嫌い。


談笑している受験者、ケンカしている受験者。




来た時のピリピリした空気が懐かしい。


「はいはーい！注目」


桃色の髪を肩で切り揃えた可愛らしい雰囲気の女の子が手を叩き、受験者の視線を集めた。


「あたしは2次試験官のラットね。

2次試験の内容は無事に3次試験会場に辿り着くこと！

今からあたしが先頭を走るから着いて来てね♪」


受験者に向けウインクしたあと、背を向けて走り始めた。


そしてそのあとに受験者達が続く。


「俺は前へ行くがシャルはどうする？」


「うーん、俺は適当に着いて行くよ」


「そうか、じゃあ3次試験会場でな」


そう残すと大量の受験者の中へ消えて行った。