第1章 異質な華

清廉な雰囲気を漂わせる異質な受刑者の名はリア。


罪名は違法薬物所持、及び販売、大量殺人、殺人未遂等。


まだ公になっていないものも存在するとされている。


暗く静かな監獄で正座し、読書にふける。


「囚人番号1081番、面会です」


看守の男が中に居る女性に声をかけた。


ガチャッという音を立てて頑丈な扉の鍵が開かれた。


パタン、静かに本を閉じるとゆるりとした優雅な動きで立ち上がる。


両手を前で揃え、腰まで伸びる艶のある漆黒の髪をなびかせながら看守のあとに続く。


ゲタがコンクリートと擦れ、カランカランという音を鳴らす。


囚人服を着ていないリアの衣服は紺色ベースに、藍色と赤紫色のバラが散っている着物。


帯は鮮やかな緑色であり、上下に白いレースがあしらわれ中央にアクセントで赤い紐が入っている。