第2章 親しくなるほどの壁
それから数ヶ月間紫音と浩二は週末になると近所のバーで飲むようになった。
あ、今日は私が先か。ちょっと飲んでようかな。
「すみません、この前のと同じので」
バーテンダー「かしこまりました」
……1時間経過
遅いなーもしかして今日来れないのかな。
連絡も来て…って連絡先交換してなかったか
あともう少ししたら今日は帰ろう…
バーテンダー「 はい、はい、伝えておきます、はい、失礼します。あの紫音さま。」
「はい」
バーテンダー「5分後に『あのベンチで待ってる』と浩二さまからご連絡が入りました」
「あのベンチ?」
バーテンダー「ええ、そう言えばわかるはずだと」
「わかりました、ありがとうございます」
……『あのベンチ』
バーテンダー「ありがとうございました」
「今日も美味しかったまた来ます」
あのベンチね...
あ、発見!
「こーちゃん何でこんな所によびだ…?」
『ああ、来てくれてありがとう』
「あの、こーちゃん酔ってる?」
『ん?ああちょっと飲んできちゃったーえへへ』
「いつもあんなに飲んでも酔わないのに...どれだけ飲んだの」
『んーわかんない』
「こんなところにどうして私を」
『ちょっと言いたいことがあってさ。ここ、座んなよ』
「は、はい。何なんですか?そんなに酔った状態で...」
『酒の力借りないと言えないかなーと思ってさー
……あのさ、ずっといおうと思ってたんだけど』
「な、なんですか」
『付き合ってみないか?』
「え?」
『俺さ好きになっちゃったみたいなんだよお前のこと』
「...」
『だからその付き合って...』
「...なさい」
『え?』
「ごめんなさい!」
『ど、どうして?』
「あの、すごく気持ちは嬉しいんです...でも」
『「怖い」ってか』
「え?」
『あーそうなんじゃないかと思った』
「あの、どういう事ですか」
『俺酔ってなんかないよ』
「どうして告白なんて...」
『君を好きになったってのは違わない。でも最近ちょっと違和感があったもんで』
「違和感...?」
『まあ誰もが同じってわけでもないけど、普通の人は親しくなるほど壁がなくなってく感じがする。でも紫音ちゃんは違った』