第5章 自然の中で
「んー晴れてるしなんだか空気が美味しく感じるなー
あ、こんなことならカメラ持ってくるんだったな、でも行先知らなかったんだし、浩二のせいか」
『でっかい独り言だな聞こえてるぞ、誰が俺のせいだって ほらっ』
「え?!なんで私のカメラ持ってるの?!」
『君の同僚に君のことをこまかーく説明していただいて、そこで趣味も聞いたから部屋にあったの勝手に持ってきた』
「……それ、ちょっとやばくない?」
『マジで引いてるし、嘘だよ嘘 これは俺のカメラたまたま紫音のと同じだったみたいだな 部屋に置いてあったのみてあー同じだーって思ってた
だから余計に気があってるって、運命じゃないかって思ったんだ…っておい!』
「え?なに?」
『何じゃないよ!今の!俺のロマンチックな言葉!聞いてなかったの?!』
「え、だって早くこのいいのを撮りたくて…」
『っ……まじかよ』
「そんないいこと言ったの?じゃあまた後で聞かせて」
『なんだよ、俺より写真の方が大事ってか』
「そう!」
『…もういい』
「あ、えっと…ご、ごめん、なさい」
『…なーんちゃって!怒ったと思ってビビった?』
「ふざけないでよ!ほんとに怒らせたかと思った!」
『ごめんごめん』
「…私も、ごめん、写真の方が大事なんて嘘、浩二の方が大事」
『はあぁもう!そうやってまた可愛いこと言う!
車の中じゃ抱きしめられなかったけど、ここならできる…』
「ちょ、ちょっと…」
『誰も見てないよ、ここ人通り少ないし、それにさっき写真の方が大事って言った罰
だからおとなしくしなさい』
「…」
そうして、自然の中で紫音は浩二にそっと抱きしめられるのでした