第2章 オリエンテーション
「なんて言ったの?w」
兎希「あたしのほっぺた摘んだまま照れないでって言ったの!」
いたい~!とわたしがつまんでいた頬をさする。
微かに赤くなってる。
「照れてません!照れてるのは兎希でしょ〜?」
兎希「このほっぺたの赤みはあなたがつまんだからですけどお」
「ふふふ」
物の貸し借りとか、お互いの家を行き来したり、片方の家でご飯食べたり。そういうことできる幼馴染がいることはもちろん素敵だと思う。
けど正しくは幼馴染とは言えないかもしれないけど、こういうやり取りができる友達がいることだって素敵だと思う。
「兎希が引っ越してきてくれて良かったって思ってるよ。同じ中学に来てくれて、ありがとね」
安「おれもそー思っとるで、兎希ちゃん。ありがとお。しーちゃんとも友達になってくれて」
わたしの言葉に同意するように章ちゃんも言うと、ますます兎希の頬は、顔は、赤くなった。
兎希「二人して何?!気持ち悪いっ」
やー!っと言いながら自分の肩を抱く仕草をすると、すぐに「あ、ばいばい!」と重たい荷物を持って兎希はバスを降りた。
これで、二人になった。
二人になっても、もう気まずさはない。
兎希がそうしてくれたから。
安「荷物の整理してから来る?」
「うーん…洗濯物ばかりだし、明日休みだから明日まとめてやろうかなって思ってる。だから着替えてそのまま行こっかなぁ」
安「ほんなら、おれ先にシャワー浴びるからいつも通り入ってきてくれてええから」
それは前みたいにシャワー上がりの章ちゃんに出くわさないよね…?と思いながら「うん、」と返事した。
バスがわたしたちが降りるバス停についた。
自然と章ちゃんがわたしの分まで重たい方の荷物を持とうとするから急いで「大丈夫だから!」と言って抱えた。
「章ちゃん、バイトすぐ始まるの?」
安「せやねん。明日から入ってる~」
「そっか…」
バイトをするってことはそうだよね。
土日もわたしが休んでる間、章ちゃんはバイトに行ったりするよね。