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青い春【KJ∞】

第3章 一学期


「洗って来たら…?きっと事情説明したら先生も許してくれるよ。朝課外には間に合ってるし…」



わたしがそう言うと横山くんが「ほんなら先生来てから行くわ!」とわたしの提案に頷いてくれた。


横「俺らの主張をフォローせえよ、班長」
兎希「誰が班長やねん。オリエンテーションは終わってるぞ、横山隊員」



ブフォッ


?!
え?!と思い音の方を見ると渋谷くんが口元に袖を押し付けてるとこだった。




ぼぞりと「何やねん、ほんま」と笑いをこらえるような声が小さく聞こえた。

笑われたであろう兎希は困惑した顔をしていたけれど、先生がちょうど入ってきて、横山くんが「せんせー!手ぇ洗ってきます!」と切り出したことで強制的に困惑が終わらされた。





















「ふぁ…」



朝課外が終わり、HRが始まる前の15分ほどの休憩時間で兎希と一緒にトイレに行った。
わたしたちの場合は誘われたからと言って必ず一緒にトイレに行くわけではない。
あくまでも自分もトイレに行きたいとき。
トイレってほんと女の子の溜まり場というか…内緒の話をするのも、嫌な話をするのも全部トイレ。





「お待たせ~」


トイレを出て、廊下の窓側に背中を預けて、きゃっきゃとトイレに来た子、友達の付き添いで来た子が出てくるのを眺めているとそれに紛れて兎希も出てきた。






トイレから戻る途中、教室の前の水道のとこに横山くんと渋谷くんがいた。
朝課外前に洗いに行ったけど、結局綺麗には落ちなくて、今再チャレンジしている。





「少しは落ちた?」


兎希が横山くんに話しかける。


「やー、あかんわ~。薄くはなってんけど。くさいねん」


ほら、と横山くんが自然と自分の手を兎希の鼻に持っていく。そして兎希も自然とその手を嗅ぐ。



「うん??石鹸のにおいするよ?」



その動きの最中も渋谷くんは無言で石鹸を手にこすりつけている。
石鹸は網の中に入れられて各水道にひっかけられている。



「…あの、そんなにこすってると皮がむけちゃうよ?」



見ていられなくなって、渋谷くんに声をかけると、「んー」と渋谷くんは返事してこするのはやめた。
泡を洗い流した手は案の定赤くなっていた。





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