第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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いつものように放課後練習が始まった。
ただし、いつもと同じようで同じではない。
今日からゴールデンウィーク合宿が始まるのだ。
家に帰らず、皆で寝泊まりし部活を行うというのはいかにも青春で
多くの人がワクワクするものだと思う。
けれども、美月はそれを素直に楽しめない状況にあった。
数日前…
「えっ!清水先輩、合宿泊まらないはずだったんですか?」
「わっ、美月ちゃん…」
正式にマネージャーとなってから毎日、清水のサポート役として動いていた美月は
スコアブックを清水に渡しに行った際、武田先生と彼女の会話を聞いてしまった。
なんでも清水は合宿所と家が近く、合宿期間中泊まらずに帰るはずだったらしい。
しかし美月がマネージャーとして合宿に参加することになった今、
女子1人で男子たちとともに泊まらせるわけにもいかない。
そう考えた清水は宿泊者数の変更のため、武田先生のもとへ訪れていたのだった。
「でもそんな、私のせいで申し訳ないです…!」
大丈夫よ、と優しく言ってくれるが
お世話になっている彼女に迷惑をかけてしまうのは心苦しかった。
それに美月には、清水が泊まることで起こりうる“あること”が不安で仕方なかった。
田中さんと西谷先輩が…絶対に騒ぐ!!!!
彼らの異常な清水への態度は隣にいる美月をも怯えさせていた。
清水は意に介していないようだが、合宿となると彼らの暴走はどこまでいくのか…。
美月はキッと目に力を込め、自分の胸を自分の拳で叩いた。
「心配しないでくださいっ!清水先輩は私が守りますっ!!」