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第11章 アカシックレコード


「そういえば、あいつの家ってヤクザだったっけ?」
陽くんは足をブランブランとさせた。

「あぁ。」
優月さんは小さく頷いた。

…。

再び沈黙が訪れる。
店内には小さくBGMが流れていた。

聞きたいことはたくさんあった。
でも、なんとなく聞いちゃいけない気がした。

「…あ!そういえば、今日って"4Ways"のメンバーが生放送のTVに出るらしいですね!」

私は沈黙に耐え切れず、
特に関係もない話をしてみた。

「あぁ、カズトラのバンドか。何時からだ?」
優月さんは少し赤くなった目を
こすりながら、私に聞いた。

「えっと…あ!丁度もうそろそろみたいです!」
私は携帯で調べると、
すぐにそう優月さんに伝えた。

「…見てみるか。」
そう言って優月さんはカウンターの奥から
小さなTVを取り出した。

「うお!そんなところにTVがあったのか!」
陽くんは驚いたような顔で覗き込んでいた。

「あぁ。客が来なくてめちゃくちゃ暇な時見てる。」
優月さんがTVの電源をつけると、
カズトラさんが出ているであろうTVのチャンネルをつけた。

「あ。」

そこには既に"4Ways"のメンバーが映し出されていた。

赤に近い茶色の少しウェーブかかった髪に
二重の大きな目。
ほぼ無表情のカズトラさんがアップになった。

カズトラさんはメンバーの中央で司会者とメンバーが会話を繰り広げてるのを尻目に、一人ぼーっとしている様子だった。

「こいつが喋るねぇー。どんな感じなんだろ。」
陽くんはじっとTVに顔を近づけた。

「喋らないし…根暗とかなんだろ。多分。」
優月さんは陽くんをTVの画面から
離しつつそう言った。

「あー。なんかそうっぽいよな。」
陽くんも納得したように頷いた。

しばらくすると、
"4Ways"のライブがはじまった。


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