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第9章 狂った世界。


蘭丸さんが歩くと、
いろんな人たちが話しかけてきた。

「あら?今日もお見舞い?彼女早くよくなるといいわねー!」

「おう!」

「あら、今日はガーベラなのね!可愛い花だからきっと彼女も喜ぶわね!」

「そうだろ!」

蘭丸さんは全ての人にニコニコと笑いながら対応していた。
見た目はなんだか不良っぽいのに…
実はすごく良い人なんだなぁ…。

やっぱり人間は見た目によらないものだ。

私はそんな事を考えながら彼を見ていた。

階段を登り、個室の病室が並ぶ階へとやって来た。
その中のひとつの扉の前で蘭丸さんは足を止めた。

「ここにな。りっちゃんが居るんだ。」

「律さん…?」

何度も名前が出ていたから少し予想はしていた。
が、やはり、少し驚いてしまった。

「開けるよ。」

そう言って蘭丸さんはドアを開けた。

そこにはたくさんの機械があり、
その真ん中には律さんが寝ていた。

「よう。りっちゃん。今日も会いに来たぜ。」
蘭丸さんは笑顔で話しかけ、律さんの手を握った。

私はどうしていいかわからず、
ただ、入り口に立ち尽くしていた。

「ほら、雛っぴ、おいで。」

蘭丸さんは私の手を引いた。

「あ…。」

律さんの寝顔はすごくきれいだった。

「ほら、りっちゃん、今日はな雛っぴも来てくれたんだ。嬉しいだろ。」

そう言って蘭丸さんは私の手を律さんの手の上に置いた。

「…あ、り、律さん…こんにちわ。」

私がそう話しかけても
相変わらず彼女は寝たままだった。

でも、その手は暖かく、
生きていた。




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