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優しいキスをして【裏夢】

第2章 優しいキスをして〈2〉


「凜……!凜……!起きなさい……っ!もう朝よ。早く起きないと遅刻しちゃうわよ」

「……んんーっ……もうちょっと寝かせてよ……」

「ダメよっ……早く起きてちょうだい。あなたの好きなスクランブルエッグが冷めちゃうわよ」


母さんの優しい声
私の頬に優しく触れる手

暖かい日差しに包まれているみたい。私はそこから目覚めたくなくて、瞳に力をいれてしまう。






──凜わかってるでしょ?これはあなたの夢よ。現実じゃないわ──

──わかってる。でも、もう少しだけ夢の中にいさせてよ──

──無理よ。あなたが生きている限り現実に戻らなくちゃいけないんだから──

──……戻りたくなんかないっ……!──

──無理よ。だって……ほらっ──




盛大に食器が割れる音がして、私は無理矢理現実に戻された。



「……あたま重たい……」


目覚ましの音で目覚めるわけでもなく、割れる食器の音で目覚めるのは日常茶飯事に近い。

リビングに行けば否応なしに現実を突きつけられる。

それでも私はリビングへの扉を開けてしまう。
自分が傷付くってわかっているのに……




もしかしたら、いつもと違う現実があるかもしれないって期待してしまうから。



裏切られるってわかっているのに……私ってバカだよね。
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