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神様の悪戯

第3章 不幸少女


初めて見る、黒川さんの自然な笑み。
今まではどこか胡散臭かったり怖かったりしたが、今の黒川さんは違う。

「黒川さん…今日何か良いことでもあったの?」

「なんで?」

「いや…笑い方がいつもと違うから…。」

そう言うと、黒川さんは自嘲気味に笑った。

「顔に出るなんて…俺も駄目だな。」

「え?」

「いや…シュリがうまそうに食うから嬉しいだけだよ。」

その言葉は、本心では無いような気がした。
だけど、踏み込んではいけない気もする。

何となく、そう思った。

「ていうか、黒川さんも食べてよ!」

「ああ、うん。」

ようやく黒川さんは箸を持ち、食べ始めた。

でも食べるのはほとんど野菜ばかり。

「ねぇ、もっとお肉も食べなよ。」

「あんま肉食うと胃がね…重くなるから。」

「まだそんな年じゃないでしょ?そう言えば、黒川さんて何歳?」

「何歳に見える?」

質問に質問で返されてしまった。

「んー、30代前半くらい。」

「じゃあ、そのくらいってことで。」

「教えてくれないの?」

「必要ある?」

そう聞かれてしまうと…必要はないけど。

黒川さんは何かと秘密主義だ。
教えたくないのか、教えられないのか…。

「黒川さんて、なんか怪しい。」

「そう?ショックだなー。」

微塵もショックだと思っていなさそうな口調だ。

「実は危ない人だったりする?」

「危ない人って例えば?」

「例えばー…ヤクザとか。」

私の中で危ない人といえばヤクザくらいしか思い付かなかった。

黒川さんは声を上げて笑った。
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