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神様の悪戯

第3章 不幸少女


強引過ぎる黒川さんに文句の1つでも言いたいところだが、この人には2度も助けてもらった。
文句を言える立場ではない。

「シュリ、なに食べたい?」

「なんでもいい。」

「出た、なんでもいい女。たまにいるんだよな、なに聞いてもなんでもいいって言う奴。」

なんでもいい女って…その言い方に少し腹が立った。

「じゃあ、お肉。しゃぶしゃぶ食べたい。」

普段の節約生活では食べれない物だ。

「しゃぶしゃぶね、了解。」

黒川さんに連れられて来たのは、明らかに私みたいな庶民には場違いな高級そうなお店だった。

「え…ここに入るの?」

思わず入るのを躊躇った。

「うまいよ、ここの肉。」

「そういう問題じゃなくて…こんな高そうなお店…。」

「いいから、行くぞー。」

黒川さんに手を引かれ、お店の中に入った。

「いらっしゃいませ。あら、黒川様。お久しぶりで御座います。」

着物の似合う品の良い女性が、黒川さんを見て微笑んだ。

「どーも。」

会話からして黒川さんはこのお店の常連客なのだろう。

本当に…この人何者なの。色んな意味で。

そのお店は完全個室で、その中の一室に案内された。

座敷席で、靴を脱ぐだけで緊張してしまった。

黒川さんは慣れた様子で胡座をかいて座り、私はその正面に座った。

緊張して正座をする私に黒川さんが言った。

「膝、崩しなよ。」

「う、うん…。」

膝を崩し、思わず溜め息をついてしまった。

しゃぶしゃぶを食べたいと言ったのは私だが、まさかこんな高級店に連れて来られるとは思わなかった。
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