第3章 桜散る
頭の中は綾人のことでいっぱいなのに、あの日以来連絡なんて来なくって…
「講義だるい…」
ぼそっと呟きながら携帯を眺める。
私から連絡するのもありなのかな…?
長い長い講義も終わり、家についても何だかやる気が起きない。
とりあえず、怠い。
ピンポーン
家のチャイムの音。
綾人かも!
そんなことを思いつつ、つい急いで玄関のドアを開ける。
「久しぶり。ケーキ買ってきたの」
「な、なんだぁ〜莉奈かよ〜」
期待はずれ。
でも、まぁ入学式以来会ってなかったから、2週間ぶり。
同じマンションなのに。
私はお茶をいれながら、そんなことを考えていた。
テーブルの上には、莉奈が買ってきたケーキ。
私の好きなケーキ屋の1番好きなチョコケーキ。
ふわふわのスポンジに、絶妙甘さチョコ。
美味しさのあまり、綾人のことなんて忘れてるわけで…。