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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《4》

第10章 憂鬱の雨




あれから体調は普通に良い。だがあくまでも経過診断もののために病院には行かなければならない
しかし梅雨時、あいにくの空模様。傘を持って玄関を出た

雨の日は低気圧とかの影響で憂鬱になるという。先日のうかない表情の理由が頭を占めていた

こんな気分で病院に行っても、と時間に余裕があることを確認して近くの公園に入る

それでも考えてしまう、あの時に居たのは私じゃない。と

彼らが必要としてるのは、私じゃなくて、今私の中で眠ってる別の子で、本来のこの身体の持ち主で、私じゃない

なのに彼らが一緒に居てくれるのは、記憶が戻すためで、私が消えた時はきっと


『喜ぶ、よね』


ポロリと涙が零れた。あの時、黄瀬とのことを見てから彼女はこのことばかり考えてしまうのだ

でも、それでも仲良くしてほしいと思ってしまう。私を知っている人は誰もいないんだから

ポロポロと涙を零していると、男の人が2人前に立つ。視線を上にあげると緑間と高尾がいた


「どーした?転んじゃったか?」

『高尾君、緑間君…』

「どうしたのだよ」

『いや、ちょっと休憩』

「そういうことじゃないのだよ」


明らかに何かあったのだと分かることから、2人が苗字を挟むように隣に立つ

わざわざ2人で居たのだから、何か用事があったのではと思い涙を拭って話しかける


『2人は用事があったんじゃないの?』

「図書館に行こうと思っていただけだ」

「真ちゃんってば雨だからってオレのこと荷物持ちに呼ぶんだぜ?鬼だよなー」

「どうせ暇だろう」

「レポートやろうと思ってたんだよ」

「図書館でもできるだろう」

「ぐっ…!」


やりとりにクスクスと笑う彼女を見て、2人はホッとしたような表情を浮かべる

そして、話し上手でもあり聞き上手な高尾が優しく彼女に問いかけた


「名前ちゃんはどーした?」

「火神か」

「あ~火神デリカシーねぇからな~」

『あ、いや違くて…うーん、話しにくいんだけど…』

「オレに任せな!真ちゃんの慰め係もやったことあるくらいだぜ?」

「慰められた覚えはないのだよ」


この2人なら、と彼女は「実は…」と胸に閉まってある思いを話し始める

聞いている彼らは苗字の話を笑うことなく真剣に聞き、彼女も話しやすそうにしていた




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