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【イケメン戦国】私と猫と

第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)


ようやく口づけから解放された湖は、光秀の胸にそのまま凭れてしまった

「言ってみろ、湖。気持ちいいだろう?」
「・・・っ、知りません!」

顔は見えない湖だが、髪の間から覗く耳が赤く染まっているのは良く解る

「まぁいい・・・それで、わざわざ人の部屋で寝ていた理由はなんだ?」
「っそれも、もう知りませんっ!」

本当は、詫びをしに来たのだった
迷惑を掛けた詫び
自分があの僧侶に蹴られたのだと話した光秀の顔は、いつも通りにも見えた
でも、一瞬・・・謙信に襲われた時のように光秀の表情に影が掛かったようにも見えたのだ
それが、気がかりで湖は光秀の自室を尋ねていた
まだ帰ってきていない事が部屋に入ってすぐにわかったが、少しだけ待つつもりがその場で眠ってしまっていた

皺にしてしまった羽織を抱えて立ち上がろうとすると、その羽織を引き抜かれてしまう

「お前の事だ。つまらない詫びでも言いにきたのだろう?」
「っ・・そうです・・」
「わかりやすい・・・では、詫び代わりにこれを貰おう」

そう言い、引き抜いた羽織を湖に見せる
湖は、小首を傾げ怪訝そうな顔をする

「貰う・・って、それは光秀さんの羽織りですよ」

そんな湖に見せつけるかのように、光秀は羽織りに口づけをしてみせる
その動作があまりにも艶らしく湖はまた頬を染めた

「だが、お前の香りが染みついた」
「っ・・」

(香りって・・なんだか、光秀さん・・色っぽい・・っ)

「このまま側に置いておいてやる。これから香りが消えたらまた付けにこい」
「・・・っやです」
「遠慮するな、また気持ちよくさせてやるから」
「っ光秀さん!!」
「騒ぐな、湖。まだ皆寝て居るぞ」

明るくなっては来ている
もう起き出して仕事を始めるものも出てくるだろう
湖は、襖の方に歩み出すと一度振り返って光秀に言った

「・・・休んでくださいね。人で遊ばないで、寝てくださいよ」

そう言い、部屋から出て行った
残された光秀は、手に残った湖の感触と部屋と羽織りに残った香り
これらを確認し、褥に横になる

「・・・そうだな、少し休むか」

(この中なら、ゆっくり休めそうだ・・・)

陽が昇りはじめた
新しい一日の始まりの出来事だった
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