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delivery start【KJ∞】

第7章 隠しきれない。



ピンポーン…


「あっ!」


声を上げた母の方を見ると、インターフォンのカメラ画面にすばるさんが映っている。


「霄!来たよ!!」

ほらほら!と急かされる。

今日、帰ってきてから急かされてばかりだなぁ…


会話ボタンを押し、「今出ます」と伝える。


あぁ来たァ…!
ひ、久しぶりに会う気がする…!


玄関のドアを開けると、
恋いてやまない大好きな姿。

「すばるさん、」

名前を呼ぶと、ふわりと笑ってくれる。


「誕生日、おめでとう」

目尻に優しい笑い皺を刻み微笑んでくれる。

「ありがとうございます!」

とわたしの後ろから

「「「霄をよろしくお願いします!」」」

家族総出(と言っても3人だけど)で言う


「ちょっ、」

恥ずかしい!!


「はい。任せてください。
今日は誕生日に娘さん、お借りします」

と深々とすばるさんが頭を下げる。


っ?!

「す、すばるさん??!」

慌てて上体を起こそうと肩を押す。

その手に手を重ねられ、頭を下げたままわたしの顔を見て微笑む。

、そんなことされたら
誰だって勘違いしちゃう。

「いえいえ、うちの娘でよければいくらでも借りていってください」

ハハハッと笑うお父さん。
それに対しても、笑って返し、

「じゃあ、」とすばるさんが言う。
それを合図に、手を振る家族に背を向け、
恥ずかしくてすばるさんを引っ張っていく。



「…びっくりしました。」

お店へ向かって歩きながら話す。

「ん?何が??」

「何がって…その、
娘さんお借りしますって頭下げたことですよ」

つい、ゴニョゴニョと言葉尻がしぼむ。

「やって…ほんまのことやん?今まで誕生日は家族と過ごしてたんやろ?」

その話も、すばるさんにもう話してある。

「そう、ですけど…」

「ほんなら、ちゃんと謝っとかなやん。今年は俺のせいで親御さん、お姉さんは霄ちゃんと過ごせへんねやから。」

じっ、と真剣な目で見つめられる。

カァァと、顔が赤くなるのがわかる。

それを誤魔化すように思わず視線を逸らす。

「す、すばるさんのせいじゃないですよ…わたしもその、」

一緒に過ごしたかったから。

その言葉が、恥ずかしくて素直に出てこない。

言葉が出ないわたしに「ん?」と先を促すすばるさん。



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