第1章 おめでとう
一抹の不安を抱えながらもまだ鳴り響くケータイを手に取った。
ピッ
通話のボタンをタップすれば着信音が止み、ほかの女子とは違う少し低めのアルトの声が聞こえてくる。
「もしもし、だいち?」
俺はこの少し丸っこい媚びた感じのしない朱莉の呼び方が堪らなく好きだ。
「ん、俺だけど、どうした?」
「遅くにごめん。寝てた?」
「いや、起きてたよ。もう少しで寝るところだったけどな。」
素直にそう答えるとよかった、、、と安堵する声が聞こえた。
「ん?何がよかったんだ?」
「ん、ナイショ。」
なんだなんだ話が読めない。
何も無いのに電話をしてくる奴じゃないのに
時刻は11時58分