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キミ日和

第8章 【五月晴れの正しい使い方日和】青峰大輝




「璃音ー、ねぇ、トイレ付き合って!」


次の日、いつものようにそう誘う友人に、私、今はいいやー、そう笑顔で返事をする。
え?って友人は驚いた顔をして、なんで?って聞いてくるから、別に行きたくないから、そうサラッと答える。


首を傾げながら立ち去る彼女たちの不満げな顔に気がついたけれど、昨日の屋上での青峰くんとの会話を思い出し、私は私、そう自分に言い聞かせる。


それから彼女たちと入れ違いに教室へと入ってきた、背の高い色黒の、まさに思い描いていた人物に目を輝かせる。


「青峰くん!ちょっとどうしてくれんのよ!このすごい日焼け!」
「あー?なんだよ、いきなり、んなこと知るかよ。」


制服の袖口をペロッと捲って、くっきりと色分けされた日焼けのあとを見せながら頬を膨らませる私に、青峰くんは相変わらず面倒くさそうに答える。


「青峰くん、いつもああやってサボってるから、そんなに色黒なんじゃないの?」
「んなわけあっか!」


結局、昨日はあのまま2人で眠りこけちゃって、気がついた時には放課後で、大ちゃん!またこんな所で・・・なんて、青峰くんを迎えに来た彼女さんに2人で起こされるという失態を働いてしまった。


青峰くんを起こしに来たはずが、隣で私が寝ていたものだから、すごく驚いた顔をしていた美女に、目が覚めた途端、サーッと血の気が引いて慌ててその場から逃げ出した。


「こ、これは、違くて、ゴメンナサイ!!」


そう叫びながら転がるようにハシゴを駆け下り、呆気にとられている彼女さんの横を走り抜けた。


5月の日差しは容赦なく私をジリジリと照りつけて、すっかり赤くなった肌は褐色へと変わり、ヒリヒリと刺すような痛みを放つ。


あのあと、青峰くんと彼女さん、喧嘩にならなかったかな・・・?


そっと青峰くんの顔を見上げると、いつものようにかったるそうな顔をするだけで、その答えは伺いしれない。


青峰くんの彼女、きれいだよね・・・、思わずポツリと呟いてしまい、その反応に神経を研ぎ澄ませた。

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