第16章 発覚
病院に着くと、私は年甲斐も無くずっと母の手を握っていた。
結果を聞くのが怖かった。
何もありませんように。
ただのちょっとした体調不良でありますように。
そんな願いも虚しく、医師から残酷な現実を突き付けられた。
「検査の結果、急性骨髄性白血病だということがわかりました。」
不思議と、涙も出ないし取り乱したりもしなかった。
「娘は…これからどうすれば…。」
母の声が震えていた。
「この病気は早期治療が肝心です。すぐに入院して治療を受けて下さい。」
「あの、娘は今、大学に通うために埼玉で一人暮らしをしているんです。できれば実家がある長野の病院で治療して頂きたいのですが…。近くに大きな総合病院があるので、そこで…。」
その後の母と医師のやり取りは全く耳に入らず、気付くと私は母に手を引かれ、アパートの部屋に戻ってきていた。