第8章 〜奇蹟〜
「取り敢えず、皆今の数値教えてくれる?」
「え、放って置くのかい?」
意外そうな京楽に玲はくすりと微笑んだ。
「今はまだ、大丈夫。頭に血が上ってるわけでも無さそうだし、好きにさせておけばいいわ」
思ったよりも放任主義の玲に呆気に取られた死神達。
しかし、遠目に見ても、どちらかが致命的に劣っている訳でも、傷付いている訳でも無いのが分かる。
故に、彼女の言葉に従った。
各自の制御率を聞いた玲は、一人一人にアドバイスをして、散った彼等の様子を見守る。
今の所、最も数値が高いのは七緒と卯ノ花。
理知的な彼女達は、効率の良い方法を、素より知っているのだろう。
頭で物を考えることが苦手な更木が、一番進歩が見えない。
遠目に見遣ると、氷の龍と、桜の刃が、衝突の激しさを増した気がした。
玲は黙って、自らが創った空間の霊子結合率を強化する。
仮にどちらかが卍解しても、崩壊することは無い様に。