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【HQ】ANARCHY【R18】

第2章 >>1 噂話は流れる件




「なぁなぁ、聞いたか?」

「あ!王者の所の顧客情報流出したって話??」

「それもだけどよ、烏のメンバーの自宅がバレたらしいぜ??」

「ちげーよちげーよ!《悪戯子猫》にガサ入ったんだってよ!」

「は?!青い奴らの口座凍結された話じゃねーのかよ!」

「だーかーらー…、KAKAPOの新イベ流れたんだって、交渉してたアーティストともめたみたいだぜ??なんでも、そのアーティストの誹謗中傷をKAKAPOのオーナーがTwitterでしてたらしいじゃん。」

都会の街は夜になると、何処からともなく闇に紛れていた者達が這い上がり、この時間だけを楽しむ。
ここにいる理由なんて、みんな無い。
ただ生きている、それだけだ。
そんな噂話を楽しむ男達を横目に、無愛想な缶コーヒーを片手に僕はスマホをいじる。
イヤホンを着け、音楽の音量を上げる。

(ああ、なんて平凡なのだろうか。)

スマホの画面にうつるお気に入りのアーティストを眺めながら、今日も行きつけのゲームセンターに向かう。
そこで格闘ゲームをしこたまする。
それが終わると、近所のコンビニに立ち寄り、煙草と缶ビールを買う。
そんな淡々とした毎日。

『うっわあ…思いの外荒れてんなあ。』

自宅にあるパソコンの画面を眺めてそう呟いた。
僕は所謂《ネット犯罪者》らしくて、色んな人に目をつけられるのだが、中にはそんな僕の技術を買ってくれる人がいる。
一回の依頼につき100万円をぽんと出してしまう奴も居る。
それのおかげで仕事もしなくて済んでいるのだが、その分リスクが多い。
警察には目を付けられるし、危ない裏社会の人にも警戒される。
でも不思議と、その恐怖すらもゲームの様に楽しんでいる自分もそこには確かに存在している。
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