第9章 和婚式
女の子からこれを言い出すのに、
どれだけ勇気がいることか。
これを断られたら、
どれだけ傷つき、後悔するか。
それは、男の俺にだって想像できる。
…真っ直ぐ俺を見つめ、
答えを待っている早瀬から
目をそらすことができなかった。
ドッカーン。
俺の中で、
理性の堤防が崩壊する音がする。
…卒業した後で、よかった…
『本気なんだな?後戻りできねーぞ?』
『わかってます。』
…もしこの話を及川にしたら
『いいじゃん、もう卒業してるんだし。』
とか
『向こうからそう言ってきたんでしょ。』
とか
『だいたい岩ちゃん、深く考えすぎ!』
とか言われるだろう。
でも、俺はやっぱり、
彼氏のいる女の子を、
男として抱くことは出来ない。
だから。
言い訳がましいけど。
『…よし、早瀬。
これから、保健体育の授業を始める。』