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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



駅に着く。
音駒谷線の改札口までくると
黒尾さんの手が離れた。

途端にスウッ、と、温もりが消えて、
もう、淋しいと思ってしまう。

『ホントに、ここまでで大丈夫か?』

『はい。のんびり帰ります。
黒尾さんこそ…一人で大丈夫ですか?』

『俺?なんで?
…あ、トーコのことでグレてないか、ってこと?』

『はい。』

『なんだろな、むしろスッキリだ。』

その表情に
痩せ我慢や強がりの影は
まったく見えなくて、安心する。

『よかったです。
…送っていただいて、ありがとうございました。』

頭を下げてお礼を言い、
顔をあげると、ちょうどその高さに、
かがんだ黒尾さんの顔が待っていて。

ビックリして、
息が止まりそうに、なる。

『約束、守れよ?』

…一人でいたくない時は、
誰かと一緒にいたい時は、
最初に黒尾さんに電話すること。

『…はい。』

不思議だ。
その約束があると思うだけで
孤独も寂しさも、むしろ歓迎したくなる。

『あの…その約束って…有効期限は…』

『有効期限?』

アハハハハッ…と笑う黒尾さん。

『ねぇよ。ちなみに、回数制限も、ない。』

『…でも、
もし黒尾さんに新しい彼女が出来たら、
やっぱり、遠慮した方がいいですよね?』

今度は、声はないけど、笑顔。
…こんなに、笑う人なんだな…

『そう思うなら、
とりあえず早めに電話して来いよ。』

『…わかりました。』

もう一度、頭を下げて改札の中へ。

振り向くと
黒尾さんはこっちを見ててくれた。

なんか…
なんか、ちょっと、嬉しくて…

頭を下げなきゃいけないのに、
つい、片手があがってしまい
その手が、バイバイ、と動いてしまう。

黒尾さんも
ポケットから手を出して振り返してくれた。

口が、動いてる。

『あ、り、…。』

確かに、ありがとう、と。

黒尾さんとトーコさんの
別れの場面に立ち会ってしまい
申し訳ないと思ってたけど…

あんな大人な別れもあるんだな、って知った。

実ることのない恋だったけど
相手のこと、本当に大切に思ってたってわかる。

…今までの自分の別れを振り返って
恥ずかしくなった。

次に恋することがもしあったら、
その時は、あんな風に別れられるような…

あれ?おかしいか。
別れを前提にしちゃいけない。
不幸癖にも、程がある(笑)


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