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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



『一生、手離すな』
そんな大袈裟なこと、言われても…

大将の言葉は重たくて
すぐに返事ができなかった。

大将も、黙っている。

まるで
その沈黙に耐えかねたかのように
カラカラカラッ…と音がして
店の戸が開き、

『うぃーすっ、大将、久しぶり!
四人、座れる?』

…サラリーマンのグループが入ってきた。

『大将、貧乏神は帰るわ。ごちそうさん。』

『またな。彼女に、よろしく。』

…軽く手を挙げて、店を後にする。
よろしく、って言われてもな…
もう、会う用事がねぇんだよ。



ポケットに手を突っ込んで歩く、
一人の帰り道。
…この間は、同じ道、二人で歩いたな…

酔った彼女を、掴まえられなくて。
フラフラしてんのに走ろうとして。
転べば助けてやんのに、
意地でも転ばないんだ。
終電なんて、乗り遅れたっていいのに。

…でもお陰で、家まで行って。

彼女の失恋話、
今思い出しても、胸が痛む。

今ごろ、まだ仕事してるんだろうか。
誰かの幸せの準備を。

俺の結婚式のプランニングを
させてくれ、って。
…俺、そんなこと、させれっかな。
彼女に、何もなかったように
自分の幸せな顔、見せられっか?
…俺より先に彼女が幸せになってたら
それもアリ、だけど。


どっかに、
彼女の痛みをわかってやれる男、
彼女の心を溶かしてやれる男、
彼女を置いてかねー男は
いねーのかな…


家に帰りついて眠りにつくまで、
なんとなくずっと
彼女のことを考えてた。


これは、大将曰く
"ふと考えてしまう"
"考えると胸が痛む"
…という
"恋の自覚症状"なのだろうか。

全然、タイプではないはずなのに?

トーコのことは"女"として"好き"で、
それに比べたら彼女は本当に、
"珍獣" "セミ" くらいの
いわゆる"好奇心"だと思ってるのに?

"好奇心"も"恋"に入るのか?

くーっ、わかんねぇ。
こんなに恋愛について考えたこと、
1度もねぇし。


こんなに悩んでるのは、俺だけ?
彼女は?

彼女にとって、俺は何なんだ?


確認しようにも、
もう、会うこともない。

…そう思っていたのだけれど。



また、会うことになり、

また、夜道を二人で歩くことになるとは。

それが、二人にとって
思いもよらぬ展開になるとは。

この時は、予想もしなかった。





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