第27章 ウェディングプランナー
『ん?』
…言わなくちゃ。
『黒尾さんが、
ちゃんと約束守る人だって、
私、よくわかりました。
…だから、もう、
ご自身の次の恋を探すことに
時間を使ってください。』
約束。
ベッドの上で言ってくれた。
『その場かぎりの優しさがイヤなら
次も、その次も次も、また会おう。』
黒尾さんは本当に、会ってくれた。
約束、ちゃんと守ってくれた。
信頼できる男もいるってわかった。
もう、充分。
これ以上、会うと…
本当に、好きになってしまう。
私が
黒尾さんの好みのタイプでないことは
自分で100も承知。
『黒尾さん、
この間、話、聞いてくださって嬉しかったです。
人に話したら、少しスッキリするものですね。』
『…それは、よかった。』
『黒尾さん、次は、
堂々と独占できる人を選んでくださいよ!
また落ち込んだって、
もう次は相手、してあげませんからね!』
『…よく言うなぁ。
その言葉、そのままあんたに返すよ(笑)』
『黒尾さんが結婚する時は、
私にプランナーさせて下さい。
夜久君に交渉して
グーンとサービスしますから。』
『おぅ。…世界イチ…』
『覚えてますよ!
"世界一、キレイにしてやって、
サプライズもがっちり仕込んで、
泣かせる系、"でしょ?
私もあれこれ勉強して
黒尾さんのどんなリクエストにも
想像以上の内容で応えられる
プランナーになっておきます!』
『約束、だな。』
『ええ。黒尾さん、約束守る人だから。
私も、約束守ります。』
だから、
制服着て、
あの会場で、
プランナーとして、
お待ちしています。
心から
"おめでとうございます"って言えるように、
ちゃんと頼れるプランナーに
成長しておきますから。
…出来れば、早く、来てくださいね…
『それじゃ。
コレは確かにお預かりしますので。
大将に、よろしくお伝え下さい。
いろいろ、ありがとうございました。
…黒尾さん、お幸せに!』
最後は、
いつも、新郎新婦を見送るときと
同じ言葉で、
同じ角度のお辞儀で。
私なりの、祝福の儀式。
言いたいことは、これで全部。
…最後だと思って、
何度も、名前、呼ばせてもらった。
小さな贅沢、させてもらった。
振り返って、歩き出す。
早く、銀座を立ち去りたかった。
ここは、私には、眩しすぎる。
早く、私のいるべき所に、戻ろう。
