• テキストサイズ

短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第28章 演劇部には近づかない方が良いかもしれない 真白友也


「あんずさん」


やっと制服を返してもらって、ぐったりしている私の元にやって来たのは日々樹さん。


「なかなか様になってましたよ?」

「ですが………全く慣れません。もう、金輪際やりたくないです………。」


日々樹さんはニッコリ笑う。またなんかやってくるなこの人…


「そういえば、真白くんと氷鷹くんは…」

「あなたがお疲れのようなので、購買に甘いものを買いに行ってくれましたよ。」

「あぁ…………すみません」


結局今日は何だったのか。本当に本当に疲れた。


「ところであんずさん」

「はい?」


グイッと腕を掴まれた。疲労でフラフラの私はそのまま引っ張られ、ボスッと日々樹さんの体に引き込まれた。


「あの……これ以上疲労を増やさないでもらえませんか?」


もはや抵抗するのも面倒くさい。日々樹さんの長い髪がサラサラと顔に垂れてくるのが鬱陶しい。


「男に抱きしめられているのに、随分な肝の据わり方ですね……。もしかして、この私を何とも思わないほど好きな誰かがいるんですか?」


サアッと血の気が引いた。慌てて日々樹さんを力の限り押す。

彼は大人しく離れた。


「…………意地悪な人、知ってたんですね…?」

「彼の演技力はまだまだですから!!」


日々樹さんはニッコリ笑う。あぁ最悪。もう本当最悪。


「……真白くんが付き合ってたこと黙ってた意味が今なら分かるかも。」

「おや、お相手は友也くんでしたか!」

「………………はい?」

「いやはや、半分以上冗談だったんですけどねえ………amazing!!今日は驚くことばかり!!咲かせましょう!二人のために愛の花を……!」


パクパクと口を動かすが声にならない。な、なんて意地悪な………!!

完璧に騙された……


「お、鬼…悪魔…!日々樹さんの馬鹿ッ………!!」


悔しいやら真白くんに申し訳ないやらで、その場にへたり込んだ。もう、どうやって彼に説明しよう……!


「…………………あんずさん?」


本当に今日はついていないらしい。

購買のお菓子やらが入ったビニール袋を持った二人が、部室の扉を開けてこちらを見ていた。


どうやら帰ってきたらしい。
/ 683ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp